LoRa変調の特徴
LoRa通信技術は、一般にサブギガ帯(日本国内では、920MHz帯が利用される)を、LoRa変調と呼ばれる、チャープ信号を使った独自のスペクトラム拡散方式(周波数拡散)を用いて、広い帯域に拡散して通信する技術です。
また、遠く離れた距離でも、減衰した信号から送信信号を取得できる変調方式を用いた低消費電力通信です。
3G/LTE/4Gにも使用されている技術で、送信時の信号に特定のデータを掛け合わせて、非常に広い帯域の範囲に電波を拡散します。受信側でその逆の操作をすることで、ノイズなどにも非常に強い耐性をもつ通信方式です。
LoRaで使用されている920MHz帯は、現行の電波法において、ISMバンドのひとつで、一定の出力以下であれば、免許不要で使用できる(特定小電力無線局)電波帯域であり、認証取得済みの機器を用いることで、誰でも運用が可能です。さらに、この通信方式には、低消費電力という特徴があり、センサー側など送信側では、間欠動作(電波放射しない間は、スリープする動作)によって、飛躍的に電池寿命を延ばすことができます。3Vのコイン電池1つで数年間のセンサー運用も可能です。
当社で採用しているモジュールでは、これらの各特徴が組み合わされ、見通し距離で最大30km強、郊外市街地で4km前後、直径6~8kmの円域(当社実測値)を1つのアンテナ基地局でカバーできる特徴を持ちます。
項目 |
920MHz |
2.4GHz |
5GHz |
無線方式 |
特定小電力
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ZigBee
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Bluetooth
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BLE
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Wi-Fi
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変調方式 |
GFSK
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LoRa
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O-QPSK
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FSK/FHSS
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FSK/FHSS
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OFDM
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OFDM
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伝送速度(bps) |
50k~250k
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73~22k
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250k
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1M
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1M
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11M~600M
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11M~600M
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通信距離(見通し) |
200~2km
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2k~30km
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100m
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30m
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30m
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50m
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50m
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送信出力 |
20mW以下
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20mW以下
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10mW以下
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10mW以下
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10mW以下
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10mW以下
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10mW以下
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Private LoRaの活用例
当社では、LoRaを活用したい企業様へのサポートのため、LoRaモジュールの評価や推奨品の選定、また、LoRaモジュールを活用した通信機器などを設計、開発、必要によって、量産などを提案しています。また、Private LoRaの活用のための調査をしたいユーザ様向けに、LoRa通信レベル検証システムも提供しており、電波到達レベルの確認ツールなども提供しています。LoRaを活用できる事例として代表的なものに以下のようなものがあります。
環境センサー(気温・湿度・気圧・照度など)+ LoRa で環境モニタリング
畑、農場、山林などの気象観測などで活用でき、LoRaによる広いエリアがカバー出来る特性を活かせます。
GPS + LoRaで、動物の行動範囲等を把握
家畜や動物にGPSとともに装着することで、LoRaの電波が届く広範囲でリアルタイムGPSロギングができます。また、メモリを装備させることで、電波エリアから離れた場合もトラッキングした位置情報を、電波エリア内に入ったときに送信することなども可能です。
災害防止観測のローカル基地局(LoRa IoT Gateway)
海岸、河川、山林など、比較的見通しが良く、数km以上の間隔でLoRaのアンテナを設置すれば良いような環境では、ソーラーパネルと蓄電池を組み合わせたLoRa基地局を設置できます。また、各LoRa基地局からは、3G/LTEによってクラウドへデータを中継でき、広い範囲のIoTゲートウェイの役割を果たします。センサーや発振器をLoRa子機として活用することで、センサー情報の収集はもちろん、GPSやLoRa電波強度情報から位置情報の把握や緊急信号の発信など低コストで実現できるシステムでありながら、高度な使用方法が可能です。弊社のVisual IoT技術と組み合わせて利用することで、より応用が広がります。